(二)この世界ごと愛したい





「どう?私やれば出来っ…!?」


「……。」



ハルにすぐに感想を聞こうと思ったら、聞く前にその腕の中に引き込まれた。




「は、ハル?」


「…綺麗だった。」


「ほんとっ!?」


「ああ。綺麗すぎて苦しい。」



それは大変だ。


心配なのでハルを見たいのに、私を離すつもりがないハルはそのまま動かない。




「ハルちょっと離して?大丈夫?」


「……。(今世は…仕方ねえ。)」


「ハル?」


「仕方ねえって、頭では…分かってるんだ。」



ただ私を抱き締めるハル。


その声は、あまりにも苦しそうで。悲しくて切ない痛みが私にまで届く。





「…ハル、見て。」


「…ん?」





「桜の花、ちゃんと咲いたよ。」



満開には程遠いが。


蕾が開いた花があるので、私はそれをハルに見て欲しいと伝えた。





「ハルの想いが届いたんだねっ!」


「…そんなのはいい。」


「えー。」


「お前がそうやって、笑ってくれるなら…それでいい。」



笑うよ。


楽しいもん。嬉しいもん。ハルの隣は幸せだもん。





「大好きだよ。」


「ああ。俺も…。」



ハルはいつだって、私を好きだとは言わない。


可愛いは何万回と言われてきたが。





「俺も?なにー?」


「お前分かってて言ってんだろ。」


「えーわかんないー。」


「…言わね。」



いいんだ。


今世は私が伝え続けたいと思う。




生まれ変わって。


裏山の桜の花が咲いた場所で、巡り会うその日まで。





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