「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
「俺と付き合わない?」
コウさんが真剣な顔で見つめている。
えええ!?
動揺して目を逸らしてしまった。
「美琴?」
そういうと、コウさんに抱き寄せられた。
「コ、コウさん!」
驚く私を抱きしめたまま、
「だめ?」
と尋ねてくる。
甘いあまえた声に自分の心臓がバクバクいうぅぅぅぅ!
何、この人!こ、声がエロイ!!
落ち着け、自分!!落ち着け!!
「あの・・・コウさん・・・コウさんかっこいいから・・・私じゃなくてもコウさんと付き合いたいっていう子、たくさんいるでしょ」
「うん。いる」
「いるんかい!」
抱きしめられている胸を叩いた。
しっとりとしたムードがぶっ飛んでしまった。
「ははっ」
コウさんの笑い声を聞いて、冗談だったのかとイラっとした。
「もう!適当に口説こうとしてるの?緊張して損した」
離してという意味を込めて、肩のあたりを強めにトントンと叩いた。
コウさんは抱きしめる腕に再び力を込めた。
そして
「でも真面目に口説きたいのは美琴だけだよ」
と囁いた。
「真面目に口説くって言ってる時点で不真面目だと思う」
「はははっ。確かに。
ね、俺のこと嫌い?」
「・・・嫌い・・・・・・・
・・・ではない」
「おい!その長い間、やめろよ。焦るだろ」
抱きしめられながら「おりゃっ」と体を左右に振られる。
その勢いにつられて、反射的にコウさんの背中に手をまわしてしがみつく。
「うわっ!危ないっ!きゃあ!あはは!ごめんごめん」
「反省した?」
抱きしめたまま、私の顔を覗き込むようにして、耳元で話すから、ぞわりと背中が震える。
その感触に堪え、明るい声で答える。
「反省した!」
「じゃ、俺と付き合う?」
「いや。それは無理」
「即答」
「すみません」
コウさんは頭をよしよしと撫でて、体を離した。
体は離されたけど、まだ近い距離でコウさんと目が合う。
その優しくて甘い瞳に色気を感じて、ドキッと心臓が強く打つのを感じた。
慌てて、目を逸らしてテーブルに並んだ朝食を見る。
「ねえ、さっきからいい匂いがする。お腹すいちゃった。
さっき作ってたのって卵焼き?」
「明太子オムレツ」
「おいしそ~」
「おいしいよ。コーヒーと牛乳、どっちがいい?」
「カフェオレ!」
「ふふっ。了解」
立ち上がって二人でキッチンにコーヒーを取りに行った。
さっきまでの甘いオーラがなくなったことにほっとする。