苦くも柔い恋
幼馴染の日比谷千晃もまた眉目秀麗な男だった。
モデルとも見紛う手足の長いスタイルに鼻筋の通った整った顔立ちと溢れるカリスマ性。
スポーツも万能でおまけに成績は常にトップ。
そんな2人に囲まれて育った私はいつだって眩い光の側で誰の目にも止まることのない、その辺に転がる石ころのようだった。
だから必然的に美琴と千晃はいつもセットだった。
誰もが認める美男美女のカップル。
美琴と釣り合うのは千晃だけ、同様に千晃と釣り合うのも美琴だけだと、暗黙の了解になっていた。
それでもやはり、女であれば一度くらいは千晃のような格好よくて目立つ男に憧れるものだろう。
それは例外なく、私だって同じだった。