苦くも柔い恋
俯いてそう言ったところで、千晃は手を掬った。
「…俺は少し分かる。美琴の気持ち」
「そうなの?」
「ああ。上手くは言えないけどな」
千晃は何かを考え込むように言葉尻を濁した。
「大好きな妹っつってたろ。それが答えなんだろうな」
「それじゃ分かんないよ…」
「上手く言えねえんだって」
そう言い、千晃は立ち上がって頭に手を置いた。
今もまだ美琴は泣いているんだろうか、妊娠は本当みたいだし、赤ちゃんは大丈夫かな。そんなことばかりが思い浮かぶ。
美琴への複雑な気持ちに悩んでいると、不意に千晃に名前を呼ばれた。
「飲みの時のこと、ちゃんと話してなくて悪かった」
自責の念に囚われるように、千晃は言う。
「和奏が俺の家に泊まりに来た時にちゃんと話しておけば良かった。…そうするべきだった」
「…言わなかったのは、私のせい?」
「和奏のせいじゃない。ただ美琴の名前を出せば不安がるだろうなと思った。…けど、そんなのただの言い訳で、俺の勝手な都合だった」
本当にごめんと、千晃は頭を下げた。