苦くも柔い恋



幾度か肩を揺らして呼吸を整え、汗に濡れた髪をかきあげるとそれをぼーっと見つめてくる和奏と視線が交わった。


「…なんだよ」

「千晃…かっこいいなって…」


ふにゃりと締まりのない顔で笑う和奏にずくりと下肢が嫌な音を立てる。


「…は、煽りやがって」


言うと千晃は和奏の腕を引き体を起こして膝を立たせる。
けれど脚に力が入らないのだろう、すぐに下へと降りてしまう和奏の腰に腕を回して固定した。


「風呂はもう少し後にするか」

「う…やっぱり一緒に入るの…?」

「当たり前」


恥じらいながらも懸命に要望に応えようと葛藤する和奏の可愛らしさに口角が上がる。

散々全部見られてるくせに今更何を恥ずかしがるのか。そうは思うが和奏にとっては違うのだろう。

もちろん本当に嫌がるなら諦めるのもやぶさかではあるが強要はしない。

けれど和奏の表情を見る限りそうでは無さそうなので、もう一押ししてみることにした。


「一緒に浸かるだけでいい。…な?」

「…っ」


肌に顔を寄せて見上げれば、和奏は眉を垂らして口を結ぶ。


「お風呂に浸かるだけ、だよ…?」

「…ああ」


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