苦くも柔い恋
言わずもがな、その年のミスコンの覇者は美琴だった。
二連覇は初めてらしく校内が沸いたけれど、分かっていた事なので特に驚きはしなかった。
おめでとうと伝えた時にお礼を言った美琴がそれほど喜んでいなかった表情からも、彼女もきっと同じ事を思っていたのだろう。
その後の修学旅行は千晃と行き先が違ったので思い出も何も無かった。
和奏の高校は行き先を3ヶ所の中から選べるシステムなのだが、なんとなく美琴と別のところにしたくて選んだ場所はやはりというか千晃とは別になってしまった。
別に同じところへ行ったとて何かが起こるなんて、欠片も期待していなかったからなんでも良かった。
そうしているうちに年が明け、バレンタインも形だけ送ったが事前にお返しは要らないと言って市販のものを半ば押し付ける形で渡しただけだった。
適当に選ばれるものほど、辛いものは無いから。