エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
プロローグ
 大きなベッドに横たわる私は、緊張で裸の身体を縮こまらせた。
 これからすることについて、ぐるぐる考え続けている。初めてだから上手く出来るのか、とか、その……痛くないのか、とか。

乃愛(のあ)

 優しい声で私の名前を呼んだ征士(せいじ)さんが、そっと覆いかぶさってきた。
 ベッドサイドの照明に照らされた半裸の彼は、男の色気に満ち溢れている。凛々しい眼差しが、いつもはない熱っぽさを(はら)んでいて、胸がドキドキと高鳴った。

「緊張しているのか?」

 そう聞きながら、征士さんが私の頭を優しく撫でる。大きくて温かい手で何度も触れてくれるのが嬉しくて、私の心も解けていく。

「大丈夫です。征士さんになら、私の全てを捧げてもいいって思ってますから」

 口にしてから、我ながら恥ずかしいことを言ってしまったのに気付き、征士さんの目を見れなくなってしまった。

「全く。乃愛のそういうところが、俺の心を揺さぶるんだ」

「えっ?」

 ため息混じりの言葉に驚いて、征士さんの顔を見る。瞳に宿る熱量が、さっきよりも増したように見えたと思ったら――、次の瞬間には、深く口付けられていた。

 いつもの軽いキスとは違う、濃密な口付け。征士さんの舌が口内を隈なく味わうと同時に、彼の指先が私の身体を滑っていく。

 それはとても気持ちが良くて……私は緊張をすっかり解くと、征士さんが与えてくれる快楽に身を委ねた。

 征士さんが私の耳許で囁く。

「乃愛を大事にする。これからも、ずっと。だから、安心して俺の物になってほしい」

「はい」

 小さな声で返事をすると、征士さんは嬉しそうに微笑んだ。そして、再びの深いキス。

 私の心は、これ以上ないほどの幸せで満たされる。
 まさか、誰にも愛されることはないだろうと思っていた私が、こんな気持ちになれるだなんて……。
 以前の私は、そんなことを考えもしなかった。
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