エリート御曹司の溺愛に甘く蕩かされました
 約束の時間が近付くと、外から車の音が聞こえた。

「御堂課長かな?」

 待ち切れずに、バッグを持って部屋の外に出る。
 外廊下から見下ろすと、マンション前に御堂課長の高級外車が停まっていた。私の住む小さなマンションにはミスマッチかも……と思っていると、車から御堂課長が降りてくる。私は部屋の鍵を掛けると、エレベーターに乗って彼の元へと向かった。

「乃愛、お待たせ」

 笑顔で名前を呼ばれて、恥ずかしさに「こんばんは、御堂課長」と挨拶する声が小さくなる。
 御堂課長は、ふたりで話す時は私を呼び捨てにするようになった。とても嬉しいけれど、私はまだ彼を名前で呼べない。すごく緊張してしまう。

 そして、今日も御堂課長はカッコいい。白のドレスシャツに、大人っぽく爽やかなブルーグレーのジャケットと黒のスラックス。ノーネクタイで、仕事の時のスーツ姿よりは少しカジュアルだけど、きちんとした服装だ。

「いつもと雰囲気が違うな」

 私を見てそう言う御堂課長に、ドキドキが止まらなくなる。

「変じゃないですか?」

「何を言ってるんだ、こんなに綺麗なのに。可憐さもあって、君の魅力がよく出ている」

 躊躇(ためら)いなく褒めてくれる。私は更に恥ずかしくなって、何も言えずに俯いてしまった。御堂課長って、仕事ではクールなのに、恋人に対しては甘いんだな……。
 彼はそんな私を見てクスッと笑うと、

「さあ、行こうか」

 助手席のドアを開けてくれた。
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