離婚してから始まる恋~念願かなって離婚したら、元夫が私を追いかけて辺境までやってきました~
「妖精も聖獣も、何ひとつ渡しはしない。彼らは自らが選んだものに仕え、力を与えるのじゃ。愚かな人間どもよ、己の立場を見誤るな。」
それまで黙っていたエルミラスが静かに告げる。
それに反論したのは皇女ユリアナだった。
「そこの老人は何を言っているの。人間が1番偉いに決まっているでしょう?その中でも最も高貴なインペリアルファミリーに仕えられるのだから光栄に思ってほしいわ。」
勝ち誇った笑みを浮かべて、
平然とそんなことを言ってのけるこの女は
根本的に我々とは相容れない存在なのだろう。

「そうだ、良いもの見せてあげるわ。さっき偶然見つけたの。」
そう言って、これ見よがしに引っ張り出してきたのは
まだ小さいケンタウロスの子供だった。
おそらく逃げる途中で親とはぐれてしまったのだろう。
恐怖で怯えた目をしている。

「なっ。貴様ら、ケンタウロスにまで手をかけたのか。」
イグネオが当惑するのも当然だ。
ケンタウロスはバッカス(酒の神)と親しく、
可愛がられていることは
フィオルガルデ連邦の面々なら周知の事実だからだ。
ケンタウロスに手を出せば、
バッカスが黙ってはいないだろう。
また、ケンタウロス自身も
非常に賢く、また荒々しい性格なうえに
極度の人間嫌いなので、
手段を選ばず子どもを取り返しに来る可能性が高い。
< 84 / 128 >

この作品をシェア

pagetop