100日後、キミのいない世界で生きていく
「最後まで見てないから多分、なんだけどね。よかったら、見にこない?久しぶりに美波ちゃんたちの顔も見たいし」


スピーカーにして聞いていたみんなと顔を見合わせる。


陽菜乃が私たちに向けて一体なんの動画を残したんだろう?

そんなのいくら考えても私たちにはわからなかった。





「久しぶりね、みんな。すっかり大人っぽくなっちゃって…」


久しぶりに会った陽菜乃のお母さんは、十年前に会った時よりも随分と痩せていたけど、相変わらず笑顔が眩しい人だった。


「みんなはこの十年間もずっと一緒にいたの?」


リビングに通された私たちは、陽菜乃のお母さんからグラスに入った麦茶を受け取りながら「いえ…」と否定する。


「私たちはずっとバラバラでした。…だけどこの十年、そんな私たちの心にずっといてくれたのが陽菜乃でした。陽菜乃の存在が私たちを繋げてくれていた…。だからまた集まることができたんです」


陽菜乃が死んでしまった今を変えるために、私たちは再び集まった。

それぞれの後悔を抱えながらも、想いはずっと一つだった。
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