100日後、キミのいない世界で生きていく
「…え?」

「その顔、本当に何もわかってなかったんだねぇ。莉久は女好きでクズだったけど、それでも莉久の一番近くにいた女子は間違いなく若菜だった。それなのに、いつの間にか若菜のいた場所を陽菜乃が奪っていって、あの莉久を変えていった…。ムカついた。嫌がらせにビビって別れればいいと思った。環先輩と莉久が浮気するように仕向けたのも若菜だよ?そしたらうまいこと別れるんだもん。爽快だったよぉ。颯太が陽菜乃に告ったって聞いて、チャンスだと思ったの。今のうちに痛めつけて、莉久の元へ戻ろうなんて二度と思えなくしてやろうって。なのに失敗しちゃったぁ」


植木鉢が落ちてきた時に傷ついてうっすらと跡が残っている右手を、ぎゅっと握りしめる。


「そんな…嘘だよね?」

「だから全部本当だって。若菜、中一の時いじめられてたの。そんな若菜のそばに最初からずっといてくれたのが莉久。莉久の隣は若菜のものだったの。なのに、陽菜乃が取ったんだよ」

「取ったとか、あんた何言ってんの…?それでも私たちは友達だったでしょ…?たまたま友達と好きな人が同じになっただけで、好きに先も後もないでしょ…?」


美波の言葉に若菜はふっと鼻で笑った。


「好きな人となんの障害もなく結ばれた美波に、若菜の気持ちなんてわかるわけないよぉ。陽菜乃には、一番の友達の美波がいるし、味方になってくれる眞紘、好きでいてくれる颯太がいるじゃん。若菜には莉久だけなの。それを奪われる気持ち、考えたことある?」


若菜は苦しそうに顔を歪めた。

こんな顔をさせてしまったのは紛れもなく私だ。

若菜の抱えていた想いに気づけなかった。
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