あれからの僕達が。
「んん?
じゃあ、キスすんの嫌い?」


隣に座っているはずのくせに、緑風は身体を乗り出して僕の顔を真っ正面から覗き込んでくる。


う。


「き、キライじゃ………ないよ。」


目を合わせたくなくて、視線だけを明後日の方へ向けて僕は答えた。


「んじゃ、好き?」


緑風の低くて深い、僕の大好きな声がそんな事を訊ねて僕の逃げる場所を奪いさってしまう。


ズルいよ。


僕の弱点ばっかり緑風に知られちゃってるなんて。


僕の大好きな声がそんな事を言えば、僕には逃げることさえも出来ないんだよ?
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