小説の中の人を拾いました ─辺境領主のご落胤─
──うん、痛いな。
頬をつねると、お肌が荒れそうなので(てへっ)腕をつねってみた。
幻覚ではないなら、もうわからん。
とりあえず、この貴重な時間をたのしむとしよう。でゅふふっ。
セルジュさまには、この家に泊まってもらうことにした。
私は子どもの頃からベッドよりお布団派だ。
たまに様子を見にやってくる母親用のお布団をだす。
田舎のいいところは家が広い。
心にもゆとりができるし、のびのびとした環境が心地がいい。
あれ、どうしたんだろう?
セルジュさまが口を手で押さえて悲しそうな目で私を見ている。
「そうか。ベッドもないほど貧しいのに……すまない」
「ちがうわーいっ!」
はっ!
思わず、天使にツッコんでしまった。