妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~
 どういうこと!?

 私が先輩のものに……って?

 私があ然としていると、パンパンと手を叩く音がして一人の男子が教室に入ってきた。

「ハイハイ、凪季。そこまで!」

 教室に入ってきたのは茶色い髪のすらりとした男子。

 制服のネクタイが緑だから、三年生かな。

 この人も蒼木先輩に負けず劣らずのイケメンだけど――いったい誰?

「朱里ちゃんが困ってるでしょ。とりあえず手を放しな?」

 茶髪の先輩は、固まっている私の横に来て、蒼木先輩の肩に手を置いた。

涼間(すずま)……」

 蒼木先輩は茶髪の先輩に言われ、素直に私の手を放した。

 どうやらこのイケメンは涼間先輩っていうみたい。

「ごめんねー、朱里ちゃん。コイツいつも言葉足らずでさ。おまけに自分が一度こうだって決めると周りが見えなくなるっつーか?」

 そう言って、慣れた動作で私の肩を組む涼間先輩。

 な、何だかこの先輩、イケメンだけどずいぶん馴れ馴れしい人だな……?

「あ……いえ」

 私がカチンコチンに固まりながらも答えると、蒼木先輩は少しムッととしたような顔で言った。

「俺は本気だけど。あと涼間、その手を放せ」


 
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