妖狐少女と御曹司～最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?～

「……ありがと」

　蒼木先輩が私に右手を差し出してくる。

「よ、よろしくお願いします」

　私が先輩の手を握り返した瞬間、蒼木先輩はグッと私の腕を引き寄せた。

　えっ……。

　ぐらり。

　自分の体が傾く。

　気が付いたら私は蒼木先輩の腕の中にいた。

「これからよろしく」

　え……ええええっ!?

　私、蒼木先輩に抱きしめられてる!?

　自覚したとたんに、顔がかあっと熱くなる。

　ど、どうしよう。

　いくら恋人同士とは言えニセの恋人だし、そういうことするだなんて考えてもみなかった！

　私が動揺していると、急にソファーの裏からのんきな声がした。

「へぇ、凪季もそういうことするんだ」

　ソファーの裏からひょっこりと出てきたのは涼間先輩だった。

「涼間……どうしてお前はいつも良いところで出てくるんだ」

　頭を抱える蒼木先輩。

　どうやら私たちのやり取りをずっと聞いてたみたい。

　なんだか恥ずかしいな……。

　私が固まっていると、涼間先輩は蒼木先輩のに手を置いてウインクをした。

「……ってなわけで、凪季は不器用だし不愛想だけどいいやつなんで仲良くしてやってね。あと、僕とも友達になってね」

「は……はいっ」

　私は大きな声で返事をした。

　よく分からないけど……。

　どうやら、私はイケメン二人と仲良くやっていかなきゃいけないみたい。

　……上手くできるかな？