妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~
 蒼木先輩は私の肩を抱くと、グイッと自分の体のそばに引き寄せた。

「せ……せんぱ――」

「俺の彼女にずいぶんと好き勝手言ってくれたな」

 私は先輩の声にビクリとした。

 その声には、今まで聞いたことがないほどの怒りの感情がこもっていた。

 そう感じたのは親衛隊の三人も同じようで、三人とも真っ青な顔をして固まっている。

「いいか? お前らがどう思おうが、朱里は俺の大切な人だ。もし今後彼女を気付つけるようなことがあったら、俺が許さない」

 蒼木先輩――。

「それにほら、ここ店内だしさ」

 そう言って、涼間先輩はスマホを取り出す。

 そこには、私を脅す三人の動画が映し出されていた。

「これ以上騒いだら、迷惑行為をする女子中学生の姿が全世界に拡散されちゃうかもよ?」

 ニコニコ顔で物騒なことを言う涼間先輩。

 涼間先輩、まさかさっきのやり取りを録画してただなんて!

「す、すみませんでした!」
「もうしません!」
「い、行くよっ!」

 そう言って、三人は逃げるようにしてお店から出て行った。
 
 ……ふう。

 とりあえず一安心……かな?

「先輩、ありがとうございまし――」

 私が頭を下げようとした瞬間、蒼木先輩にふわりと抱きしめられた。

「朱里――大丈夫だったか?」

 先輩に耳元で囁かれ、顔に火が付いたみたいに熱くなる。

 ひゃあ~!
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