妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~
「は、はいっ、だいじょうぶですっ! ケガとかしてないですし!」

 私がパニックになりながらも答えると、蒼木先輩はようやく私の体を放した。

「……そうか、良かった」

 ふう。びっくりしたぁ……。

 私が一息ついていると、ふと横にいた涼間先輩と目が合った。

「あの、涼間先輩も、ありがとうございます」

 私が頭を下げると、涼間先輩は笑って首を横に振った。

「いやいや、僕はただ、凪季に言われた通りにしただけ。お礼なら凪季に言って」

 ……そっか。録画のアイディア、蒼木先輩が考えたものだったんだ。さすがだなあ。

「ありがとうございます、蒼木先輩」

 私が改めてお礼を言うと、蒼木先輩はぷいと横を向いた。

「朱里は俺の彼女なんだから当然だろ。朱里が傷つくようなことがあったら俺も悲しいから。それだけだ」

 先輩、優しいなあ。

 私はニセ物の彼女なのに、そこまで親身に思ってくれるだなんて。

 そう考えると、私の胸はほわりと暖かくなった。

「だから困ったときは、何でも俺に言えよ」

「……はい。分かりました」

 私は笑ってうなずいた。

 なんだか変なの。

 私が蒼木先輩のボディーガードのはずなのに、なんだか私の方が守られているみたい。

 こんなの初めてだな。

 ……蒼木先輩、だからかな?
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