妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~
「狐火――!」

 私はもう一度呪文を唱え、今度は人々の吐き出したドロを焼きつくした。

 操られていた人たちの目から赤い光がすうっと消えていく。

「あれ? 俺はどうしてこんなところに?」
「今まで何をしていたのかしら」

 ぞろぞろと帰っていく人々。

 私はほっと息を吐いた。

 良かった。

 無事にあの妖怪(あやかし)を退治できたみたい。

 それにしても――。

 なんで凪季ばっかり何度も狙われるんだろう。

 私が不思議に思っていると、どこからか舌打ちの音が聞こえてきた。

「――ちっ」

 え? 今のは?

 振り返ってみたけれど、そこには誰もいない。

 あれ? 

 気のせい……かな?
 
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