妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~
第五章 なぞの転校生

18.突然の転校生

「朱里、学校に行こう」

 凪季の声がして、私は境内を掃除する手を止めた。

 顔を上げると、星空みたいに綺麗な瞳が私を見つめている。

「は……はいっ」

 私は胸をときめかせながら凪季の元へと駆け寄った。

 ふたりのカバンには、ピンクと水色のおそろいのキーホルダーが揺れてる。

 私たちは、ぎゅっと手をつなぎながら学校へと向かった。

 幸せだな。

 いつかは終わってしまう関係だとは分かっているけど、もう少しだけこうしていれたらな。

「それじゃあ、またお昼に」

「うん」

 教室の前まで送ってくれる凪季に手を振って別れる。

「いいなあ、朱里ちゃんは蒼木先輩とラブラブで」
「本当、仲良しだよねー」

 クラスに入るなり、クラスの女子たちに囲まれる。

「え……えへ、そうかな?」

 私は苦笑いを浮かべた。

 ごめんなさい、みんな。

 私たち、偽のカップルなんですっ。

 でも、それでも仲良しに見えるのなら……ちょっと嬉しいかも。
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