妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~

 そんな……本当に?

 私の胸に、じんわりと熱いものがこみあげてくる。

「それで、朱里ちゃんの気持ちはどうなの? 本当に凪季と別れたかったの?」

「それは……」

 私は自分の胸に問いかけた。

 凪季と別れたかった?

 ううん。

 そんなわけない。

 だって私は――。

 私は凪季のこと……。

 私が答えようとした瞬間、突然スカートのポケットが燃えるように熱くなった。

「えっ……!?」

 びっくりしてポケットに手を入れると、そこにあったのは凪季にあげたのと同じ、お守りの木札だった。

 これは……。

 嫌な予感が胸をよぎる。

 まさか凪季の身に何か!?

「朱里ちゃん?」

 不思議そうに首をかしげる涼間先輩。

 私はぎゅっと木札を握りしめると、ガバリと先輩に頭を下げた。

「……あの……私も凪季のこと探してみるので……失礼しますっ……!」

「あ、朱里ちゃん!?」

 私はあっけにとられた顔の涼間先輩に別れを告げ、その場から急いで駆け出した。

 ――ドクン、ドクン。

 手の中のお守りが燃えるように熱い。

 嫌な予感がした。

 凪季に危険が迫ってる。

 そんな気がした。

 凪季……どうか無事でいて!
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