いじめ…くずれていく

口が軽く触れ合う。


ちょっと顔を離すと、またすぐに唇を近づけてきた。


今度は深く。


…なんて表現したらいいか分からない幸福をかみしめる。

コウは顔をそっと離し、自分で出したレモネードを一気飲みした。


沈黙が続く。


何か話さなきゃいけないのだろうけど、何を話していいのかわからない。

「…ねぇ?そろそろ帰ったほうがいいんじゃねぇの?」

コウはちょっと上を見て言った。


まだちょっとしか時間は経ってないはずなのに…と思いケータイを見ると…

げっ!7時!!

門限が~!!

「そっそうだね…バイバイッ!」

そう捨てゼリフを残して、あたしは走り出してしまった。

さっきの…キス。


後から…緊張した。

…と回想して顔をほてらせながら走っていると、もう家の前にいた。



―――家の門が、

  地獄への門に見えた―――。
< 6 / 39 >

この作品をシェア

pagetop