いじめ…くずれていく
口が軽く触れ合う。
ちょっと顔を離すと、またすぐに唇を近づけてきた。
今度は深く。
…なんて表現したらいいか分からない幸福をかみしめる。
コウは顔をそっと離し、自分で出したレモネードを一気飲みした。
沈黙が続く。
何か話さなきゃいけないのだろうけど、何を話していいのかわからない。
「…ねぇ?そろそろ帰ったほうがいいんじゃねぇの?」
コウはちょっと上を見て言った。
まだちょっとしか時間は経ってないはずなのに…と思いケータイを見ると…
げっ!7時!!
門限が~!!
「そっそうだね…バイバイッ!」
そう捨てゼリフを残して、あたしは走り出してしまった。
さっきの…キス。
後から…緊張した。
…と回想して顔をほてらせながら走っていると、もう家の前にいた。
―――家の門が、
地獄への門に見えた―――。