電車
 2024年、40代後半になっているライターのタカノリは、病気で入院して、手術をした。そして、不幸なことに、タカノリは、会社の仕事が、解雇になった。

 そして、家にいても、することがなく、よくアイドルの女性のイラストを描いているか、または、電車に乗ってどこかに出かけるしかなかった。

 アイドルと電車が、好き。

 そして、仕事が無くなってから、しばらく、街を散策していた。

 もう、年末、タカノリは、旅行に出かけた。

 2024年12月31日のことである。

 住んでいる東京から新幹線で、関西に向かった。

 そして、東海道新幹線の新大阪駅を降りて、そのまま、大阪メトロ御堂筋線に乗った。

 えんじ色の車両だった。

 東京で言えば、東京メトロ丸ノ内線に似ているとタカノリは、思った。

 だが、新大阪駅から、西中島南方、中津駅まで、御堂筋線なかもず行きを乗っていたら、淀川が綺麗なことに、感動していた。

 タカノリは、あまり、現代っ子なのに、スマホが好きではない。

 それよりも、ぼっとしていて、周囲をよく見渡す性格だった。

 御堂筋線の雰囲気が、好きだった。

 そうだ、と思った。

 タカノリは、電車の運転士になりたいとずっと、思っていたが、学生時代、色弱なため、緑と赤色の区別が少しつかないため、なれないと言われた。

 それにしても、御堂筋線は、東京メトロ丸ノ内線に、雰囲気が似ているとも思ったし、品川駅から神奈川県の三崎口駅までつながっている京急電車に似ていると思った。

 そして、タカノリは、天王寺駅まで向かった。

 天王寺駅のあべのハルカスへ向かった。

 日本でも、かなり高い建物へ向かった。

 その日は、晴れていて、大阪市内から、海が見え、神戸方面まで見えた。

 さらに、下を見たら、タカノリは、怖くて、あべのハルカスの高さに酔いそうになったから、すぐに帰ろうとしたが、一人でいるタカノリにあべのハルカスのスタッフが、「写真を撮りませんか?」と言って、一枚、撮った。

 タカノリは、御堂筋線の車両を、そのまま目で覚えた。

 その後、タカノリは、安倍晴明神社へ、タクシーで向かって、何かお祈りをしてから、再び、天王寺駅へ向かった。

 動物園前駅から通天閣へ向かって歩き、また、通天閣を上った。

 そして、今度は、動物園前駅から堺筋線で、日本橋駅まで行き、また、堺筋線の車両を覚えた。

 阪急線の車両は、落ち着いた上品な印象があると思った。

 道頓堀でたこ焼きを食べ、そして、心斎橋駅まで歩き、アメリカ村で、若者向けの服を買った。

 アメリカ村で、路上で、絵描きをしている男性が、いた。

ー似顔絵を描きます

 1000円

 とあった。

「すみません」

「はい」

「似顔絵を描いてくれますか?」

 と頼んだ。

 若い30代の女性に、自分の似顔絵を描いてもらった。

「お姉さん」

 とふと、不思議に思って、タカノリは、尋ねた。

「いつから、似顔絵を描いていますか?」

「子供の頃からです」

「どんな絵を描いていたの?」

「好きな男の子の絵ばかり描いていました。いやらしいのもあったんやけど」

 と大阪弁で、照れて言っているように思った。

 それで、暇そうだから、電車のイラストを描いた。

「これ、御堂筋線の車両」

「あ、上手いやん」

「そうですか?」

「どっかに送ってみたら?」

 と彼女は、言った。

 2025年1月1日。

 なんばのビジネスホテルに泊まった後、住吉大社で初詣をして、東京へ帰った。その時、タカノリは、御堂筋線の車両を見て、ホテルで、何度かスケッチしていた。

 東京へ帰ってから、タカノリは、自宅で、パソコンがあって、「御堂筋線の車両」とタイトルをつけて、知っているイラスト会社の自由イラストの公募へメールで送付したら、入選していた。

 2025年1月13日に、電車のイラストを描く仕事が、タカノリに充てられたらしい。<完>
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