見せかけロマンチック



家まで歩きながらそれぞれ傘を差して歩く。

……それにしても。


雨の音とプラス、傘のせいでぜんっぜん声が聞こえない……!

知世が口を開いてるのもお兄ちゃんが口を開いてるのも見えるけど、耳に入るのは雨の音だけ。

というか多分知世もお兄ちゃんもお互いの声聞こえてない。
じゃあ今誰と話してんだようちら。


「……は………か…るわ」


……なんて?

知世が隣でそう言ってるのに対して、はあ?と首を傾げる。

…あーもう、傘邪魔……!

そしてついに痺れを切らした私は、自分の傘を頭の上から退けて、知世の差している傘の中に頭を入れた。
…そう、無意識に。


「なに?」

「…は?」


なんて言ったの?と私は知世を見上げて聞くけど。
知世は私の行動に驚いたようにピタッと固まって。

……ん?なんか近くない……?
…っうわっ!え、私なにしてんの……っ!?


自分の取った行動があまりにも大胆だと自覚して、かああっと顔が熱くなる。



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