俺の彼女は高校教師
「なあなあ、高橋先生ってスタイルいいんじゃない?」 不意に米山正一が俺に聞いてきた。
「お前 何処見てんだよ?」 「美和先生 可愛いよなあ。」
「そうか?」 「可愛くないって言うんか?」
「どうだろうなあ。」 「うわ、こいつあの姉ちゃんに惚れてやんの。」
「誰がだよ?」 「お前だよ。 お前。」
「あのなあ、まだまだ可愛いとか可愛くないとか分かんねえじゃんか。」 「ほーらほーら、剥きになってら、、、。」
「米山君 やめなさいよ。 みっともない。」 下校準備をしていたゆかりが突っ込んできた。
「おー、親衛隊のご登場でーーす。」 「親衛隊? 馬鹿じゃねえの。」
「馬鹿じゃなかったら言わないよなあ。 米山。」 「そんなこと言わないでよ。」
「でさあ、吉田君と何をやり合ってたの?」 「高橋先生だよ。」
「高橋先生がどうしたの?」 「可愛いか可愛くないかって、、、。」
「なあんだ。 そんなことか。 くだらない。」 「何だよ 律子まで。」
「あらあら、お嬢様に嫌われたか。 大変だねえ 米山君。」 「余計なお世話だ。」
「さあさあ、下校時間だぞ。 門が閉まらないうちに帰れよ。」 「はーーーい。」
バタバタと荷物をまとめて俺たちは校舎を出る。 いつものように香澄と律子が話している。
俺はというと美和の照れたような笑顔を思い出していた。 昨日も会ったんだよな、、、。
でもさ、みんなにはそんなこと言えないよ。 彼女だ何だって騒ぐやつが絶対に居るから。
母さんが言ってたな。 「弘明は算数が苦手でね。 しっかり鍛えてやってね。」って。
いいけどさ、二次方程式をやっと卒業できるかって所なんだからさあ、ほっといてよ。
「弘明君 これからよろしくね。」 帰り際、美和は俺にそう言って笑った。
あの笑顔はアイドル級だよな。 グラビアでもやってたんじゃないのか?
いろいろ考えながら校門の所にまでやってくる。 数人の仲間が屯して話している。
「昔さあ、ここいらでエッチしてた先輩が居るんだって。」 「こんな所で?」
「そうそう。 ちょうどほら隠れられるだろう?」 「とはいうけどさあ、どうやってエッチするんだよ?」
「こうだから立ってやったんじゃないのか?」 「それにしてもここじゃあばれるだろう。」
「ところがだ。 相手が妊娠するまでばれなかったんだって。」 「その話ってさあ、誰に聞いたんだ?」
「ここの卒業生だよ。」 「へえ、お前って卒業生と知り合いなのか?」
何のことは無い。 昔のエッチ話だ。 何処にでも在りそうな、、、とは言わないけど有る所には有るよなあ。
理科室でやったとかクラブ中にやったとか、教師にやられたとか、、、。
ここの卒業生でも先生と結婚したやつが居るくらいだからなあ。 そりゃあ居るさな 男と女なんだもん。
若い連中なら体力だって有るし10代後半ならほぼほぼ大人だって言ってもいいくらいのスタイルだし。
去年もさあ、新任だったのに生徒に手を出して解雇されたやつが居るよな。 出すなとは言わないけど考えてくれよ。
出すくらいならきちんと付き合ってくれ。 何となくむしゃくしゃするじゃないか。
ゆかりたちも走ってきた。 何処に行ってたんだろう? まあいいか。
寮組の人たちもさっさと校門を出て行った。 空はどっか曇っている。
ゆかりと律子は相変わらず何か話しながら俺の後を付いてくる。 別に嫌いなわけじゃないけど絡むのはちょっとね。
それにしても大きな声で話してるなあ。 いつものことだけど、、、。
バス通りを歩く。 いつもと変わらぬ風景がそこに在る。
引っ切り無しに車が走って行く。 みんな急いで何処に行くんだろう?
「だからさあ、米山君たちって高橋先生を狙ってるのかもよ。」 「狙ってる?」
「ここの男子もやっぱりもてない人が多いからなあ。」 「長谷川君なんてあの顔でラブレター入れてきたのよ。」
「ゆかりに? お似合いじゃない。」 「とんでもない。 あんな月面宙返りしたやつなんかと付き合うもんですか。」
「ゆかりだって言えないよ。 水溜まりに落ちたアンパンみたいじゃない。」 「ひどーーーーい。 水溜まりに落ちたアンパンだって。」
「やっぱり弘明君もその程度だったのね?」 「程度もくそもねえよ。 絡みたくないんだ。」
「じゃあ黙っててよ。 うざいから。」 二人はそれからも話し続けている。
「明日さあ、近所のパン屋で売ってるワッフルあげるね。」 「ワッフル? 美味しそう。」
「すぐに無くなるから買えるかどうか分からないけど、、、。」 「律子が買えなかったら買いに行くからいいよ。」
「そうねえ。 ゆかりは食いしん坊だからねえ。」 「食べられたらそれでいいの。」
バス組もいつの間にか居なくなって俺たちは三人で駅へやってきた。 「昨日はすごかったんでしょう?」
「そうだよ。 駅に着く前にガシャーンって、、、。」 「ニュースで見たわよ。 私の方じゃなくて良かった。」
「どういう意味よ?」 「まあまあいいからいいから。」
改札を抜けた二人はまだまだお喋りを続けている。 ホームに立って向かい合っても終わることは無い。
(女ってほんとによく喋るなあ。) 俺は少し後ろから二人の話を聞いている。
貨物列車が通り過ぎていった。 そして上りの電車が入ってきた。
ゆかりはスマホを取り出すと前にもまして喋り続けている。 話題が無くなることは無さそうだ。
下りの電車が入ってきて俺たちも中へ入る。 昨日みたいにはならないだろうな?
そんな何回も事故に遭って堪るかってんだ。 今日はなかなかの入りらしい。
新入生でも乗ってるのかな? 親子らしい人たちが話している。
どう見ても小学生ではないな。 黄色い杖を持っている。
俺は昨日と同じく窓の外に目をやった。 住宅地の風景がそこに在る。
いつ頃から家が増えたんだろう? この辺りはまだまだ野原と田んぼだったよね。
あの頃は春になると野焼きをしてたんだ。 辺り一面が焼け焦げるんだ。
そこから新芽が出てくる。 ついでに外注も駆除できるってばあちゃんが言ってたな。
郵便局のバイクが走っている。 昭和の頃よりは少なくなったらしいけどまだまだ手紙は現役だ。
最近は荷物も送ってくれるからねえ。 郵パックにはお世話になってるよ。
それにしてもガタンゴトンってのはいいなあ。 眠くなっちゃうよ。
ちょうど昼時だし雲間からたまに顔を出す太陽さんもうまい具合に照らしてくれるからさ。 まるで日向ぼっこだね。
昨日と同じように電車は走っている。 ぼんやりしていると俺は寝てしまった。
「弘明君 私さあ、あなたのことが忘れられないの。 付き合ってくれる?」 「美和とかい?」
「そうなの。 あの日からどうしても忘れられないのよ。」 「それじゃあ、、、。」
「んもう、重たいなあ。 乗らないでよ。」 俺は怒っているゆかりの声で目を覚ました。
「え? 何?」 「私さあ、高橋先生じゃないから。」
そう言ってゆかりは離れた所に座り直した。 俺はいったい何を、、、?
気持ち悪いなと思ったら涎まで垂らしている。 夢見たんだな。
それにしてもさ、何で高橋先生が出てくるんだ? まだろくに喋ったことも無いのに、、、。
訳が分からないままに川嶋電車区を通り過ぎる。 踏切もきれいになっている。
(あの事故もすごかったよなあ。) 物思いに耽っていると駅に着いた。
見回すとゆかりはもう降りていていつもの道を歩いて行くだけ。 昨日はバスだったから歩くのは久しぶり。
古くからの店が並んでいる通りを過ぎる。 この角にパンダ焼の美味い店が在る。
久しぶりにその店に入ってみる。 創業当時から変わらないんだって言ってたな。
小さなカウンターとテーブルが有る。 イートインも出来るらしい。
近所の子供たちがよく集まっているって聞いたことが有る。 俺はパンダ焼を四つ買った。
それから川沿いの道を歩く。 擦れ違う車は無い。
最近は野良犬さえ見なくなった。 あれほど溢れていたのに。
「お前 何処見てんだよ?」 「美和先生 可愛いよなあ。」
「そうか?」 「可愛くないって言うんか?」
「どうだろうなあ。」 「うわ、こいつあの姉ちゃんに惚れてやんの。」
「誰がだよ?」 「お前だよ。 お前。」
「あのなあ、まだまだ可愛いとか可愛くないとか分かんねえじゃんか。」 「ほーらほーら、剥きになってら、、、。」
「米山君 やめなさいよ。 みっともない。」 下校準備をしていたゆかりが突っ込んできた。
「おー、親衛隊のご登場でーーす。」 「親衛隊? 馬鹿じゃねえの。」
「馬鹿じゃなかったら言わないよなあ。 米山。」 「そんなこと言わないでよ。」
「でさあ、吉田君と何をやり合ってたの?」 「高橋先生だよ。」
「高橋先生がどうしたの?」 「可愛いか可愛くないかって、、、。」
「なあんだ。 そんなことか。 くだらない。」 「何だよ 律子まで。」
「あらあら、お嬢様に嫌われたか。 大変だねえ 米山君。」 「余計なお世話だ。」
「さあさあ、下校時間だぞ。 門が閉まらないうちに帰れよ。」 「はーーーい。」
バタバタと荷物をまとめて俺たちは校舎を出る。 いつものように香澄と律子が話している。
俺はというと美和の照れたような笑顔を思い出していた。 昨日も会ったんだよな、、、。
でもさ、みんなにはそんなこと言えないよ。 彼女だ何だって騒ぐやつが絶対に居るから。
母さんが言ってたな。 「弘明は算数が苦手でね。 しっかり鍛えてやってね。」って。
いいけどさ、二次方程式をやっと卒業できるかって所なんだからさあ、ほっといてよ。
「弘明君 これからよろしくね。」 帰り際、美和は俺にそう言って笑った。
あの笑顔はアイドル級だよな。 グラビアでもやってたんじゃないのか?
いろいろ考えながら校門の所にまでやってくる。 数人の仲間が屯して話している。
「昔さあ、ここいらでエッチしてた先輩が居るんだって。」 「こんな所で?」
「そうそう。 ちょうどほら隠れられるだろう?」 「とはいうけどさあ、どうやってエッチするんだよ?」
「こうだから立ってやったんじゃないのか?」 「それにしてもここじゃあばれるだろう。」
「ところがだ。 相手が妊娠するまでばれなかったんだって。」 「その話ってさあ、誰に聞いたんだ?」
「ここの卒業生だよ。」 「へえ、お前って卒業生と知り合いなのか?」
何のことは無い。 昔のエッチ話だ。 何処にでも在りそうな、、、とは言わないけど有る所には有るよなあ。
理科室でやったとかクラブ中にやったとか、教師にやられたとか、、、。
ここの卒業生でも先生と結婚したやつが居るくらいだからなあ。 そりゃあ居るさな 男と女なんだもん。
若い連中なら体力だって有るし10代後半ならほぼほぼ大人だって言ってもいいくらいのスタイルだし。
去年もさあ、新任だったのに生徒に手を出して解雇されたやつが居るよな。 出すなとは言わないけど考えてくれよ。
出すくらいならきちんと付き合ってくれ。 何となくむしゃくしゃするじゃないか。
ゆかりたちも走ってきた。 何処に行ってたんだろう? まあいいか。
寮組の人たちもさっさと校門を出て行った。 空はどっか曇っている。
ゆかりと律子は相変わらず何か話しながら俺の後を付いてくる。 別に嫌いなわけじゃないけど絡むのはちょっとね。
それにしても大きな声で話してるなあ。 いつものことだけど、、、。
バス通りを歩く。 いつもと変わらぬ風景がそこに在る。
引っ切り無しに車が走って行く。 みんな急いで何処に行くんだろう?
「だからさあ、米山君たちって高橋先生を狙ってるのかもよ。」 「狙ってる?」
「ここの男子もやっぱりもてない人が多いからなあ。」 「長谷川君なんてあの顔でラブレター入れてきたのよ。」
「ゆかりに? お似合いじゃない。」 「とんでもない。 あんな月面宙返りしたやつなんかと付き合うもんですか。」
「ゆかりだって言えないよ。 水溜まりに落ちたアンパンみたいじゃない。」 「ひどーーーーい。 水溜まりに落ちたアンパンだって。」
「やっぱり弘明君もその程度だったのね?」 「程度もくそもねえよ。 絡みたくないんだ。」
「じゃあ黙っててよ。 うざいから。」 二人はそれからも話し続けている。
「明日さあ、近所のパン屋で売ってるワッフルあげるね。」 「ワッフル? 美味しそう。」
「すぐに無くなるから買えるかどうか分からないけど、、、。」 「律子が買えなかったら買いに行くからいいよ。」
「そうねえ。 ゆかりは食いしん坊だからねえ。」 「食べられたらそれでいいの。」
バス組もいつの間にか居なくなって俺たちは三人で駅へやってきた。 「昨日はすごかったんでしょう?」
「そうだよ。 駅に着く前にガシャーンって、、、。」 「ニュースで見たわよ。 私の方じゃなくて良かった。」
「どういう意味よ?」 「まあまあいいからいいから。」
改札を抜けた二人はまだまだお喋りを続けている。 ホームに立って向かい合っても終わることは無い。
(女ってほんとによく喋るなあ。) 俺は少し後ろから二人の話を聞いている。
貨物列車が通り過ぎていった。 そして上りの電車が入ってきた。
ゆかりはスマホを取り出すと前にもまして喋り続けている。 話題が無くなることは無さそうだ。
下りの電車が入ってきて俺たちも中へ入る。 昨日みたいにはならないだろうな?
そんな何回も事故に遭って堪るかってんだ。 今日はなかなかの入りらしい。
新入生でも乗ってるのかな? 親子らしい人たちが話している。
どう見ても小学生ではないな。 黄色い杖を持っている。
俺は昨日と同じく窓の外に目をやった。 住宅地の風景がそこに在る。
いつ頃から家が増えたんだろう? この辺りはまだまだ野原と田んぼだったよね。
あの頃は春になると野焼きをしてたんだ。 辺り一面が焼け焦げるんだ。
そこから新芽が出てくる。 ついでに外注も駆除できるってばあちゃんが言ってたな。
郵便局のバイクが走っている。 昭和の頃よりは少なくなったらしいけどまだまだ手紙は現役だ。
最近は荷物も送ってくれるからねえ。 郵パックにはお世話になってるよ。
それにしてもガタンゴトンってのはいいなあ。 眠くなっちゃうよ。
ちょうど昼時だし雲間からたまに顔を出す太陽さんもうまい具合に照らしてくれるからさ。 まるで日向ぼっこだね。
昨日と同じように電車は走っている。 ぼんやりしていると俺は寝てしまった。
「弘明君 私さあ、あなたのことが忘れられないの。 付き合ってくれる?」 「美和とかい?」
「そうなの。 あの日からどうしても忘れられないのよ。」 「それじゃあ、、、。」
「んもう、重たいなあ。 乗らないでよ。」 俺は怒っているゆかりの声で目を覚ました。
「え? 何?」 「私さあ、高橋先生じゃないから。」
そう言ってゆかりは離れた所に座り直した。 俺はいったい何を、、、?
気持ち悪いなと思ったら涎まで垂らしている。 夢見たんだな。
それにしてもさ、何で高橋先生が出てくるんだ? まだろくに喋ったことも無いのに、、、。
訳が分からないままに川嶋電車区を通り過ぎる。 踏切もきれいになっている。
(あの事故もすごかったよなあ。) 物思いに耽っていると駅に着いた。
見回すとゆかりはもう降りていていつもの道を歩いて行くだけ。 昨日はバスだったから歩くのは久しぶり。
古くからの店が並んでいる通りを過ぎる。 この角にパンダ焼の美味い店が在る。
久しぶりにその店に入ってみる。 創業当時から変わらないんだって言ってたな。
小さなカウンターとテーブルが有る。 イートインも出来るらしい。
近所の子供たちがよく集まっているって聞いたことが有る。 俺はパンダ焼を四つ買った。
それから川沿いの道を歩く。 擦れ違う車は無い。
最近は野良犬さえ見なくなった。 あれほど溢れていたのに。