～転生悪役令嬢の裏道攻略～ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

「当主のガースルの娘のジェミーよ。わけあって今は父の代行を務めているわ。わかったら、とっとと叔父のルブロのところまで通しなさい！」
「へえっ、直ちにっ！」

　すると守衛たちはすっかり酔いも吹き飛んだか、打って変わった丁重な態度でジェミーをルブロが待つという食堂へと案内していく。屋敷の内部も外と変わらぬ豪勢さだが、残念ながらごてごてとものの多いだけの配置には、あまり上品さは感じられない。

「ルブロ様！　お食事のところ失礼いたします！」

　到着した部屋は、どうやら食堂のようだ。ビシッと敬礼を決めた兵士に向かい、扉の奥からだみ声が漏れる。

「何用か！　今はわしの一日五度しかない優雅な食事の時間であるぞ！」
「そ、それが、緊急事態でありまして！　本家のご息女であらせられるジェミー様が訪れになり、ぜひお目通りをと」
「……チィ、通せい」

　盛大な舌打ちの後扉は開き、ジェミーは食堂の奥に座るルブロの前へと通されたのだが。