すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~

なんの感情も抱いていないとはいえ、過去の恋人がいるかもしれない場に送り出す不安を今の大翔はとてもよく理解できる。そして同じくらい、相手の行動を制限したくないという感情も。だからこそ美咲の厚意を汲んで、同窓会に出席することにした。

幹事に連絡をとって出席したい旨を伝えると快く承諾してもらえたため、篤志とふたりで会場に入った。

「おー、佐伯。各務も来てたのか! 久しぶりだな」

受付を済ませ、ウェルカムドリンクを受け取って会場内を進むと、すぐに何人かの友人に囲まれた。

数年会っていなくても、学生時代をともに過ごした彼らとは不思議とブランクを感じずに話ができる。互いに近況報告をして、他愛のない話で盛り上がった。

それから恩師と幹事から簡単な挨拶と乾杯の音頭があり、各自食事を取り始める。仲間内でもひと通り仕事の話が尽きると、徐々にプライベートな話題へと移っていった。

「俺たちも結婚をせっつかれる年になったよな」
「わかる。上司にも聞かれるわ、いい人はいないのかって。妻帯者は転勤しなくて済んだりするし。パイロットはそういうのはないのか?」

友人のひとりに尋ねられた篤志が「言われたことはないな」と答えた。それに大翔も頷く。

「俺もないけど、お節介を焼きたがる人間はどこにでもいるからな」

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