すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~
「ごめんなさい。この先そばにいてくれない大翔さんを、どうやって信じたらいいのかわかりません」
最低な発言をしている自覚はある。
大翔と付き合い始めた当初から、自社養成パイロットとして『サクラ航空』に入社したと知っていたのだから。
けれど、それが美咲の正直な気持ちだった。
端正な美貌を持ち、大手航空会社のパイロット候補生である大翔は、周囲の女性から恐ろしいほど人気がある。
空港内でも街中でも、ふたりで歩いていると〝どうしてこんな子が?〟という視線が痛いほど刺さる。
実際何度もそういった声を耳にしたし、直接「釣り合わない」と言ってくる女性もいるほどだ。
週に一度は必ず顔を合わせられる今の環境ですら、美咲の心は不安に揺れている。それなのに数日後には、大翔は一年間の飛行訓練のためアメリカへ発つのだ。
それも、彼女と一緒に……。
「……俺の気持ちが、信じられない?」
悲しみに満ちた声に、胸が痛む。
大翔はなにひとつ悪くない。彼の問題ではなく、美咲の心の問題なのだ。