すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~
初めての恋に浮かれ、なにもかも完璧な彼にのめり込み、すべてを独占したいという子供のような感情を抱く自分が悪い。
付き合っていた約一年間、とても大切にしてもらった。なにもかもが新鮮で、楽しくて、幸せだった。
けれど、それと同じくらい嫉妬で苦しかった。
このまま付き合い続けていては、いずれ美咲はもっと彼を困らせるようなことを口にしてしまう。
だから離れる決断をした。
幼い自分から、大翔を解放しようと――。
(違う。そんないい子ぶった理由じゃない)
本音は、辛く苦しい嫉妬心をもたらすこの恋から逃げてしまおうと思ったのだ。
美咲は顔を上げて、彼の視線を正面から受け止めた。
整った顔立ち、艶やかな黒髪、美咲よりも頭ひとつ分高い身長、引き締まった体躯。そして何百倍もの倍率を勝ち抜いて大手航空会社に自社養成パイロット訓練生として入社したエリートぶり。
なにをとっても完璧だけれど、美咲はなにより彼の低く甘い声が好きだった。大翔に名前を呼ばれるだけでドキドキして、耳元で好きだと言われるたびに腰が砕けそうになった。