すれ違いだらけだった私たちが、最愛同士になれますか?~孤高のパイロットは不屈の溺愛でもう離さない~
さらっと褒められ、美咲はくすぐったさに肩を竦めた。相変わらず、兄は自分に甘い。
「そういえば、聞いたか? 同窓会の話」
「あ、うん。なんとなくは。北見さんが来てたって」
「派手なドレス着て、断られるとは微塵も思わずに大声で復縁を迫ってたよ。大翔もあの場では冷静に対処してたけど、内心は怒りで煮えたぎってる顔してたな」
「怒り?」
聞けば佐奈は海外のエアラインのほうが年俸もいいし箔がつくのになぜ帰ってきたのかと、大翔に問いただしたらしい。
「そんな……パイロットはお金や箔付けのために飛んでるわけじゃない。北見さんだって以前はパイロットを目指していたはずなのに」
「そういう部分が真面目な大翔とは決定的に合わなかったんだろうな。俺も聞いていて腹が立ったし。そこに自分が海外移住に興味があるから、もう一度転職したらどうかなんて持ちかけて、どうして首を縦に振る男がいると思えたのか理解に苦しむ」
「……それは、たしかに」
八年前の美咲にとって、佐奈は美人で仕事のできる完璧な女性だった。だからこそ敵わないと思ったし、彼女の言うことが正しいのだと不安になった。