小説家と毒の果実
オリバーはパチパチと大きな拍手をミアに送った。

「さすがミア。片付けありがと〜!」

あっという間にゴミ屋敷だった家が綺麗になった。ミアはため息を吐く。

「もう大人なんだから片付けくらいちゃんとしなさいよね」

「うん。わかったわかった。それよりお腹空いた」

「……そうあんたが言うだろうからって、オリバーのお母さんがサンドイッチ作ってくれたわよ」

「やった〜!」

ミアと共にリビングへとオリバーは入る。ミアがお茶やサンドイッチの準備をしている間、オリバーはリビングに置かれた本棚の整理をしていた。その本棚には、彼がこれまでに執筆した小説がズラリと並んでいる。

「○リー・○ッター」

「○滅の○」

「○ァイオレット・○ヴァーガーデン」

「○ャーロック・○ームズ」

知っている人が見れば「あれ?」と思うタイトルばかりが並んでいる。しかし、本人はこれを見て満足げだ。

(やっぱり前世でみんなに人気だったものは、こっちの世界でも大人気だな)

オリバー・テイルズは転生者だ。彼は、前世では読書とアニメが好きな日本の男子高校生だった。しかし事故に遭い、気が付いたらこの世界に転生していたのだ。
< 3 / 24 >

この作品をシェア

pagetop