小説家と毒の果実
この世界はこれまでいた世界とは違い、魔法が存在する。みんな幼い頃から魔法が使え、魔法を学ぶために学校に通う。転生者のオリバーも例外なく魔法が使えた。

前世ではなかった魔法の勉強にオリバーは胸を弾ませたものの、すぐにこの世界に退屈を感じるようになってしまった。この世界には前世では当たり前にあったアニメはない。小説もラノベのようなものは存在しない。

そこで彼は閃いたのだ。前世の読んだ小説をこの世界で発表すれば売れるのではないかと。その作戦は大成功し、オリバーは人気小説家としてこの世界で瞬く間に有名となったのだ。

そんな彼は今、サンドイッチを食べながら次に書く小説のことを考えていた。ストーリーや登場人物は丸パクリとはいえ、忘れてしまった部分もある。そこは自分の想像で補わなくてはならない。

(次は何の話を書こうかな。○束の○バーランドにするか)

オリバーの前では、ミアが同じようにサンドイッチを頬張っている。しかし不意に彼女はサンドイッチを皿の上に置き、ため息を吐いた。
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