小説家と毒の果実

執筆の手を止め、オリバーは肩をぐるぐると回す。ずっと同じ体制で座り続けていたためか、肩がガチガチと痛んだ。

「ん〜！」

両腕をグッと伸ばす。椅子がギシリと音を立てた。小腹が空いたため何か食べようとオリバーは立ち上がる。そして一歩踏み出せば、色んなもので散乱した床が見えた。

「そういえば、ミアが来てくれた日以来掃除していなかったな〜」

綺麗好きが耳にしたら発狂しそうな言葉を口にし、オリバーは気にする様子もなくキッチンへと歩いていく。その時だった。一羽のフクロウが窓をコツコツと叩く。真っ白なそのフクロウは一枚の手紙を咥えていた。

「おっ、フィロメラ〜。久しぶり！」

フィロメラはオリバーの実家で飼われている。手紙や小さな荷物を運ぶことができる賢いメスのフクロウだ。そんなフィロメラは今、「早く開けろ」と言わんばかりに窓ガラスをコツコツと何度も叩いている。

「はいはい。今開けるよ」

オリバーが窓を開けると、フィロメラは手紙を置くとすぐに飛んで行ってしまった。彼女はせっかちなのである。