小説家と毒の果実
「ミア、どうしたの?」

「いや、来週のこと考えるとちょっと緊張しちゃって」

ミアはエヘヘと笑う。彼女は来週から王宮で薬剤師として働くことが決まっている。ミアは魔法薬の授業ではいつも好成績を残していた。先生がよく褒めていたのをオリバーは思い出す。

「ミアなら大丈夫だろ!お前、僕と違って責任感強いし真面目だし〜」

「まあそう言ってくれると嬉しいけど……」

サンドイッチを食べた後、ミアは家へと帰って行った。そして予定通り王宮へと新たな一歩を踏み出していく。その門出をオリバーも祝福した。

王宮でミアが働き始めて一ヶ月後。オリバーの元に一通の報せが届いた。それはーーーミアの逮捕を告げるものだった。



その日、オリバーはいつものように執筆作業をしていた。この世界にはパソコンやスマホといった機器は当然ない。魔法でペンを動かして紙に書いてもらう。口で文章を話さずとも、頭の中で考えたものをそのまま書き写せる優れた魔法だ。

(疲れた。ちょっと休憩しようかな)
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