隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい
彗くんから髪飾りをもらったときは、すごく嬉しかったから。いつも肌身離さず持っていたくて。
バレッタだったら学校のカバンにもつけられると思って、いつもつけていたんだけど……もしかして、どこかに落とした?
「どうした? 菜乃花」
突然固まった私を不思議に思ったのか、彗くんが声をかけてくる。
「えっと、あのね……」
言いかけた言葉を、私はすばやく飲み込んだ。
「う、ううん。何でもないよ」
彗くんからもらった物をなくしただなんて、本人に言えるわけがない。
もしかしたら、家に置いてきたって可能性もあるから。
このあと帰ったら、一度探してみよう。
そして帰宅した私は、家の中をくまなく探してみるも、問題の髪飾りはどこにもなかった。