隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい


彗くんから髪飾りをもらったときは、すごく嬉しかったから。いつも肌身離さず持っていたくて。


バレッタだったら学校のカバンにもつけられると思って、いつもつけていたんだけど……もしかして、どこかに落とした?


「どうした? 菜乃花」


突然固まった私を不思議に思ったのか、彗くんが声をかけてくる。


「えっと、あのね……」


言いかけた言葉を、私はすばやく飲み込んだ。


「う、ううん。何でもないよ」


彗くんからもらった物をなくしただなんて、本人に言えるわけがない。


もしかしたら、家に置いてきたって可能性もあるから。


このあと帰ったら、一度探してみよう。


そして帰宅した私は、家の中をくまなく探してみるも、問題の髪飾りはどこにもなかった。

< 110 / 166 >

この作品をシェア

pagetop