隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい


1週間経っても見つからないってことは、髪飾りはもう諦めるしかないのかな。


「はぁ……」


口からは、もう何度目か分からないため息がこぼれる。


「菜乃花、どうしたんだよ?」


彗くんが、心配そうに私の顔を覗き込んでくる。


しまった。今は空き教室で、彗くんとお昼ご飯の最中なんだった!


「何か悩みごと? ご飯もあまり減ってないし。俺で良ければ、話聞くよ?」

「……っ」

「ほら。誰かに話すだけで、スッキリすることもあるしさ。こういうときこそ、彼氏の出番だろ?」


『彼氏』


彗くんが、そう言ってくれるのは嬉しいけど……。


「だっ、大丈夫だよ。少し頭が痛いだけだから」


彗くんに、余計な心配をかけたくなくて。私は、無理やり笑顔を作る。

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