求婚は突然に… 孤独なピアニストの執着愛
朝も6時を過ぎると、駅前のコンビニは活気付いてくる。土曜の休日部活に向かう学生や、大きな荷物を持った旅行客など、店内の人口密度は一気に上がる。
レジには客が行列を作り、私は淡々とその列をさばいて行くしかない。
「釣りは要らない。」
低く重低音のよく通る声を聞き、始めてハッと顔を上げる。
一万円を渡されて、買ったのはたったの缶コーヒー1つ。さすがの私も慌て、
「お客様…ちょっと!」
と、声をかければ…既に出入り口を出て行く後ろ姿…。
客も沢山まだ列をなしている…。
どうしよう。と、動転するが次から次へと来る客に急かされ、追う事も出来ずに目で追う事だけしか出来なかった。
黒の皮手袋に…黒のロングコート、背丈は…180センチを軽く超えていた。お釣りを置いって行ってしまった客の特徴を思い出しながら、なかなか終わらない客の波をなんとか店長と2人でこなす。
気が付けば7時半…そこでやっと、次のバイトがやって来てバトンタッチ出来たのは8時だった。
「怒涛の忙しさだったな…。」
一緒にバックヤードに引っ込んだ店長も、さすがに疲れの色を見せる。
3人のバイトと飛び込みの助っ人バイトが1人入り、やっと終わる事が出来た。
「お疲れ様でした。
あの…店長。お釣りは要らないと帰ってしまったお客様がいて…お釣りが9780円なんです。どうすれば…。」
「ああ、さっきの長い列の時の…?すげぇな。釣りは要らないなんて言ってみたいもんだよ。とりあえず、今月中は預かっておいて…来なかったら警察に回すしかないな。」
意外とクリーンな商売をしている店長は、マニアル通りこなす手筈だ。
「分かりました。」
そこから、PCを使い防犯カメラでその時の映像を探し出す。時間帯と特徴を伝えれば、意外と簡単にその人物は見つかる。
「この、黒いコートの男だね。顔は…ちょっと鮮明じゃないけど…多分、こういう客はまた、釣りは要らないって言って来るかもしれないから、見つかりやすいだろ。ただ、また来るかは分からないけど…。」
そう言って店長は写真を印刷して、一応全バイトに通達する為に壁に貼る。
「なんか…モデルみたいな奴だな。180センチ越え…羨ましい。」
そう呟く店長を横目に、
「では、私はこれで。お先に失礼します。」
使命は果たしたとばかり、私はバックヤードを出た。
レジには客が行列を作り、私は淡々とその列をさばいて行くしかない。
「釣りは要らない。」
低く重低音のよく通る声を聞き、始めてハッと顔を上げる。
一万円を渡されて、買ったのはたったの缶コーヒー1つ。さすがの私も慌て、
「お客様…ちょっと!」
と、声をかければ…既に出入り口を出て行く後ろ姿…。
客も沢山まだ列をなしている…。
どうしよう。と、動転するが次から次へと来る客に急かされ、追う事も出来ずに目で追う事だけしか出来なかった。
黒の皮手袋に…黒のロングコート、背丈は…180センチを軽く超えていた。お釣りを置いって行ってしまった客の特徴を思い出しながら、なかなか終わらない客の波をなんとか店長と2人でこなす。
気が付けば7時半…そこでやっと、次のバイトがやって来てバトンタッチ出来たのは8時だった。
「怒涛の忙しさだったな…。」
一緒にバックヤードに引っ込んだ店長も、さすがに疲れの色を見せる。
3人のバイトと飛び込みの助っ人バイトが1人入り、やっと終わる事が出来た。
「お疲れ様でした。
あの…店長。お釣りは要らないと帰ってしまったお客様がいて…お釣りが9780円なんです。どうすれば…。」
「ああ、さっきの長い列の時の…?すげぇな。釣りは要らないなんて言ってみたいもんだよ。とりあえず、今月中は預かっておいて…来なかったら警察に回すしかないな。」
意外とクリーンな商売をしている店長は、マニアル通りこなす手筈だ。
「分かりました。」
そこから、PCを使い防犯カメラでその時の映像を探し出す。時間帯と特徴を伝えれば、意外と簡単にその人物は見つかる。
「この、黒いコートの男だね。顔は…ちょっと鮮明じゃないけど…多分、こういう客はまた、釣りは要らないって言って来るかもしれないから、見つかりやすいだろ。ただ、また来るかは分からないけど…。」
そう言って店長は写真を印刷して、一応全バイトに通達する為に壁に貼る。
「なんか…モデルみたいな奴だな。180センチ越え…羨ましい。」
そう呟く店長を横目に、
「では、私はこれで。お先に失礼します。」
使命は果たしたとばかり、私はバックヤードを出た。