後悔
家に入って、お風呂に入って、ベッドに横になってもマコトの言っていたことを考えていた。
ケイスケにたいする気持ちをマコトに聞かれ、分からないと答えた自分が分からない。
あんなにすっきりしていたはずなのに。
落ち込むというか、もやもやとしているような気持ちが残り寝付きの悪い夜を過ごした。


次の日、少し寝不足で出勤するとそんなのどうでも良くなるくらいのショックを受けた。

ケンジさんの腕には真っ青なアザが出来ていた。
袖を捲った時に見えたアザは本当に痛々しくて、とても見るに耐えない。

私は、毎日ケンジさんの傷の様子をみて必要なら手当てなどするために更に早く来るようにしていた。
今日もケンジさんを奥の部屋へ呼んだ。

何時ものように顔の傷を消毒し、今度はメイク道具を出しアザが目立たないようにファンデーションをそっと塗っていった。

ケンジさんも私も何も話さず沈黙が流れる。
手当てが終わるまで毎日こうだ。

増えた傷とアザ。
改めてケンジさんを見ると、その酷さに悲しくなる。
こんな事をした相手へ怒りを覚える。
もう、見てるだけなんて出来ない。
限界だ。


「どうして、そんなに普通でいられるんですか…。
毎日、毎日…こんな…。」

「こんなの何でもねぇよ。大丈夫だって。」


いつもの豪快な笑顔でケンジさんは答えた。


「大丈夫なわけないじゃないですか!」


悲しいのか悔しいのか、勝手に涙が溢れる。
ケンジさんの大きな手が優しく私の頭を撫でる。


「お前が心配するようなことねぇから大丈夫だよ。なっ?」

「…彼女さん、でしょ…?』


「あ~やっぱバレてたか!ちょっとしたケンカだから心配すんな!」


わざとおどけながらケンジさんは言ったりして、一番大変なくせに心配かけないようにって気を使う。

ケンジさんは強い人。
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