怜悧な裁判官は偽の恋人を溺愛する
「良かったら、俺が持ちますよ」
「良いんですか?」
「もちろんです。だから、そんなに背伸びしなくて大丈夫ですよ。転けたら大変ですから」
無意識につま先立ちになっていた私の足に目を落として、優流は言った。
「じゃあ、お願いします」
「ありがとうございます」
日傘を優流に渡した瞬間、ほんの少し指先が触れ合う。
「……っ!」
「どうしました?」
「い、いえ……! 何でもないです!」
……顔が熱いのは、きっと暑さだけのせいじゃないわ。
そんなことを思いながら、私は熱くなった自分の頬に触れた。
□
「お疲れ。なんか今日、調子良かったみたいじゃない」
仕事を終えたあと、私はロッカールームで美香に話しかけられた。
「スキンケア用品を提案したお客様は全員買ってくれたし、タッチアップしたお客様も購入に繋がったし……言われてみれば、たしかにそうね」
今日は木下の来店もなく、つつがなく過ごすことができた。それもあってか、私は一日の売上目標をかなり上回ることができたのだ。
「うらやましいわ……私は正直、微妙だったもの。何か、二人グループのお客様の攻略法ってある?」
コスメカウンターには、大きく分けて一人で来るお客様と、友達同士や親子など、二人で来店されるお客様がいる。
二人ともコスメの案内希望ならば、一人ずつ担当がついて接客ができる。しかし、一人だけ案内希望の場合、一人で二人と接客しなければならないのだ。
これの何が難しいのかと言うと、まず三人グループでの会話になるため、接客が長引く。そして何より、購入を迷った場合に付き添いの方が「今は買わないで、検討したら?」と言った場合、購入せず退店される確率が高くなるのだ。
「特に大学生二人組とかだと、最近は検討になる場合が多くて。でも高階さん、今日来店したグループのお客様には全員購入に繋げてたじゃない?」
たしかに、平日ということもあり私もグループ客を担当していたが、結局付き添いの方含めて、みんな何かしら購入してくれていた。
「良いんですか?」
「もちろんです。だから、そんなに背伸びしなくて大丈夫ですよ。転けたら大変ですから」
無意識につま先立ちになっていた私の足に目を落として、優流は言った。
「じゃあ、お願いします」
「ありがとうございます」
日傘を優流に渡した瞬間、ほんの少し指先が触れ合う。
「……っ!」
「どうしました?」
「い、いえ……! 何でもないです!」
……顔が熱いのは、きっと暑さだけのせいじゃないわ。
そんなことを思いながら、私は熱くなった自分の頬に触れた。
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「お疲れ。なんか今日、調子良かったみたいじゃない」
仕事を終えたあと、私はロッカールームで美香に話しかけられた。
「スキンケア用品を提案したお客様は全員買ってくれたし、タッチアップしたお客様も購入に繋がったし……言われてみれば、たしかにそうね」
今日は木下の来店もなく、つつがなく過ごすことができた。それもあってか、私は一日の売上目標をかなり上回ることができたのだ。
「うらやましいわ……私は正直、微妙だったもの。何か、二人グループのお客様の攻略法ってある?」
コスメカウンターには、大きく分けて一人で来るお客様と、友達同士や親子など、二人で来店されるお客様がいる。
二人ともコスメの案内希望ならば、一人ずつ担当がついて接客ができる。しかし、一人だけ案内希望の場合、一人で二人と接客しなければならないのだ。
これの何が難しいのかと言うと、まず三人グループでの会話になるため、接客が長引く。そして何より、購入を迷った場合に付き添いの方が「今は買わないで、検討したら?」と言った場合、購入せず退店される確率が高くなるのだ。
「特に大学生二人組とかだと、最近は検討になる場合が多くて。でも高階さん、今日来店したグループのお客様には全員購入に繋げてたじゃない?」
たしかに、平日ということもあり私もグループ客を担当していたが、結局付き添いの方含めて、みんな何かしら購入してくれていた。