月とスッポン      ありのままは難しい
「言うほど酷くなかったって事?」
「《焼き討ちまでの経由は、文書として残っていますが、実際に起こった事が人伝えるにしか残っていませんし、何より発掘調査でも3000もの遺体が発掘されていない事を考慮すると、話を盛ったというのが有力だそうです》」
「盛ったって」

思わず笑う私に

「一応、信頼度はあるとされている【信長公記】でもこの事件のあらましが書かれていますが、作者の大田牛一は文才がありすぎて誇張が激しい傾向があるそうです。
その場にいなかったはずの【本能寺の変】についてもかなりリアルに書かれていますしね」
「好きすぎて、信長様ならこうしてた!的な?」

「ありがた迷惑だったかと思います」
「広報としては優秀だから目を瞑るけどって。身に染みますか?」

「上に立つ者としてのイメージ戦略が重要なのは理解出来ます。ただそれが実際の自分とあまりに距離がありすぎると後に自分たちの首を絞める事に繋がるかと」
「上に立つ人の言葉の重みは違いますねぇ」

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