（架空）執事と私

私「……。

なに言ってるの？　最近会ってないけど、いないって……。ねえ、どうしたの？前田さん」

執事「お嬢様、いいですか。これは、あなたにとってつらいことだと承知の上、心苦しいのですが……。

あなたの住んでいた家は、いまはもうありません。あの、東京の家は、すでに別に人が土地を買い、違う家が建っています。

お嬢様には、１円も残されなかった。それでも、あなたのご親族は、”きっと何か、遺産があるに違いない”と思ったのでしょう。
ある日突然、電話がかかってきた。

それはお嬢様にとって、嫌なことだったと思います。すでにあなたの心は、そうとう弱っていたから。

弱っていたからこそ、あなたは、夢を見ることにした」

私「……夢？」

執事「そうです、わたくしはそう判断しました。