あの夏、君と最初で最後の恋をした

㉜

買い物から帰って颯太と2人で勉強したりご飯を作って食べたり、のんびり過ごした。

美也子さんの事、話そうと思ったけど何故か話せなかった。

それがどうしてか、
本当は分かっていたけど、分からない振りをした。

「紬さんはいつこっちに来るの?」

夕食を済ませ、2人で片付けをしている時にふと颯太が聞いてきた。

「予定では3日後だけど……」

言いながら気づいた。
紬ちゃんに颯太の事、何て話せばいいんだろう。

紬ちゃんになら正直に話しても受け入れてくれるとは思う。
だけど、颯太はどう思うだろう。
元々紬ちゃんが来るまでの間、2人で過ごそうって話だった。

……じゃあ、紬ちゃんが来たら、
颯太はどうするつもりなの?

心臓がドクドクと強く速く脈を打つ。
痛い、痛い、痛い。

「ねぇ、颯太。
紬ちゃんが来たら……」

「お風呂沸いてるから、先に入っておいでよ」

「あ、うん……」

私の言葉を遮りそう話す颯太にそれ以上何も言えずにリビングを出る。 

……颯太、私の話反らした?

駄目だよ、颯太。
私は颯太ともう離れるなんて無理。

私は、
美也子さんみたいに思えない。

私には、
颯太が必要なの。

私達が育ったあの街で過ごすのが無理なら、
ここでずっと一緒に過ごしたらいい。

毎日、
颯太に好きだって言いたい。

颯太の隣にいたい。

颯太とずっと一緒に、生きていきたい。

だけど終わりは、
足音を立てずに近づいていた。




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