連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
僕のいた組織のボスの表の顔は、画廊経営者だったから、そのつながりなのだな。

僕は一人で納得してうなずいた。

あの様子だと無理やりというか、わからないまま勢いに飲まれて、連れてこられたのか。

「あと、絵の制作する時は、墨を刷るのもやります」

「墨?」

「はい、この石の器に水を少し入れて、こっちの黒い石でこすって墨汁をつくります。
最も濃く黒がでるところまで、こすります」

なるほど、黒い絵の具をつくるのも仕事のひとつなのか。

「詳しい内容についてはこのファイルを見てください。何か質問はありますか?」

ルーミンは、僕をにらみつけるような視線を向けた。
敵意・・・・

「ルーミンさんの旅行は、どのくらいの期間なのですか?」

これは重要な質問だ。

「ひと月で戻ります、旅行ではなく、家族に会いに行きます」

ルーミンは簡潔に答え、少し袖をまくり上げた。

そこには龍か蛇か・・タトゥーが見え隠れする。

「もし、私のいない時にトビアス様に何かあれば、あなたを殺します」

殺すって・・・?グッと唾を飲んだ。


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