連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
ルーミンは事務連絡のようにさらっと言って

「トビアス様は、私の一番大切な恩人です。
貧民街で拾って下さり、絵の教育も受けさせてくださいました。
恩があるので、絶対に裏切りは許しません」

細く吊り上がった目は、カミソリのように鋭い。

こいつは確実に殺るんだろうな。青龍刀とか使うのか。

「ご理解いただけましたか?リアムサン?」

「僕も同じ立場だから・・・わかるよ」

やっぱり、金持ちには忠犬が控えているのだ。

握手しようと手を出したが、ルーミンは無視をして、台所の勝手口から出ていった。

ギコギコと自転車の音が遠ざかると、静寂が戻った。

僕が次にしたことは、台所の引き出しを片っぱしから開けて、
肉叩きを見つけると、タブレットと足環を叩き潰したことだった。


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