シンデレラのかけた魔法
何時間経っても君は帰って来なくて、午前零時を回った頃に警察から連絡を貰った。赤信号で停車した君の車に居眠り運転のトラックが突っ込んで、君は生きようと頑張ったけど……。

君が遠くへ旅立ってしまってから、僕の中の時間は止まってしまった。君の鼓動が止まる瞬間を見届けたのに、君がもういないなんて信じられなかった。でも周りの時間だけは動いていく。

気が付いたら君のお葬式も四十九日も終わっていて、僕は君の両親から形見として君が最期に履いていた白いパンプスを貰った。

「ただいま」

写真の中の君に泣きながら言う。君は「おかえり」を返してくれることは当然ない。ただ虚しくて、悲しくて、どこにも行き場のない感情だけが募っていく。

君と過ごすことで、君の「ただいま」を聞くことで、僕は幸せの魔法をかけてもらっていた。でもその幸せは悲しみに変わった。永遠に解けない悲しみの魔法だ。

「帰ってきてよ……」

叶うことなど永遠にない願いを呟く。もう一度君の「ただいま」が聞きたいんだ……。
< 6 / 6 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

浅葱と萌葱の検死報告〜ラスト・ドレスを纏ったシンデレラ〜

総文字数/6,989

ミステリー・サスペンス16ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
人はいつか死を迎える。 事故死、病死、老衰。そして殺人。 様々な理由で人は命を落とす。そして、その死について調べる職業も存在する。 遺骨の身元や死因を特定するのが、法人類学者の仕事だ。 ※本作はフィクションです。実際の事件や団体には関係ありません。主人公と準主人公が英語を話している時は、敬語表記となっています。
恐怖探偵団と魔法の世界

総文字数/23,912

ホラー・オカルト56ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
魔法の世界。そんなものがあるなんて、知らなかった。でもそんな世界にも、裏の顔がある。 「私は諦めないわ。だって、こんなところで終わりたくないもの」 私も、諦めたりなんかしない。
劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

総文字数/147,454

ファンタジー321ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ずっと、自分の居場所なんてないと思ってた

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop