モノノケモノ
「ああ、いいよいいよ、出てこなくても」


祖母に近づき、封筒を受け取る。

それはまさしく私の通っていた中学校のもので、そっけない茶封筒の表には私の名前が書かれていた。


「母さんがこっちに転送してきたんだ?」


「ええ、そうよ」


封はしていなかったので中身を取り出す。

中には私の成績表と2年に進級した、という内容のプリントが入っていた。


「出席日数が20日でも進級できるんだね」


私のつぶやきに、祖母はただ微笑むだけだった。

家の中に入り、居間に戻る。

封筒は、祖母の大切なものがしまってある引き出しに入れておいた。

なくさないように、というより、自分の目から隠すために。
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