モノノケモノ
もう一度明星の背中によじ登る。

秀が指差す方角をみて、明星とカナ爺が息をのんだ。


「おい、そっちって……」


「ああ。

鬼のすみかのある方じゃ」


鬼のすみか。

そこには、秀の父親がいるんだ。

しばらく走ると、目の前が一気に開けた。

半径10m程の原っぱが広がっている。

原っぱの向こうは、また森だ。

その原っぱの真ん中に、カラスが立っていた。


「族長!」


明星が一番に声を上げた。

なるほど、族長はカラスの長なだけあって明星と比べると体が一回り大きい。

見るからに強そうだ。
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