Bouquet

「白銀くん、よろしくね。私は桃瀬花音。早速だけど中庭に行こうか」

「わかった」

二人は中庭へと向かう。中庭は各クラスごとの花壇が用意されており、今日は夏に咲く花を植える。学校指定のジャージに着替えた花音と蒼は、用意された花を花壇に植えていく。

「俺、花とか植えたことないんだ。どうしたらいいのかわかるか？」

蒼は花を見て困ったような顔を見せる。花音は「任せて！」と笑いかけた。そして慣れた手付きで苗を持つと土に植えていく。それを蒼は驚いた様子で見ていた。

「桃瀬さん、花植えるの上手いね」

「家族も私もお花好きで、こうしてよく育ててるんだ〜」

花音がこの学校を選び、学級委員長になることを決めたのは、大好きな花を学校でも育てたいと思ったためである。

「土をいじるの、女の子は好きじゃないイメージ正直持ってた。俺の妹も母さんも「マニキュア塗ったのに汚くなる！」って、家に花壇あるけど何も植えないから」

「あ〜、確かに汚れるから嫌いって人はいるかも。でも私は好きだよ！」

花音は蒼に笑いかけ、次の苗を植えていく。その横で蒼も恐る恐る苗植えを始めた。様子を見ながら花音が教えていく。