もうすぐ３０歳ですが、なにか？

次の日、病院に行くと廻りの視線が非常に冷たい。
駿輔と一緒に来ていた薬剤師の子。
どうも彼の後から着いて来ていたみたいで、トイレの前での出来事を見られていた。
『院長の孫だからといってイケメン先生二人、天秤に掛けるのはどうかと思う』とか何とか言われてる。
このまま嘘をつき続けるか、誤解を解くか？

｢あー、みんな煩いなぁ。これから環先生を落とそうと思っているのに静かにしてくれないと困るんですけど｣
白々しい嘘を平気で言ってる多岐川先生がいた。

今は誤解を解かないほうが良いと思う。
でも、有難いけど多岐川先生には何もメリットはない。
なぜそんなことを言うんだろう。

お昼前、駿輔からランチに誘われた。
『話をしておきたいことがある』…、と。