あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「…明日は朝イチで帰るから」
「そう?ならもう一回」
「しない」
フイと背を向け横になる。図々しくも半分を占領して布団をかぶった。
宣言通り何もしないと言った漣が抱き締めただけで寝息を立て始めた頃、じわりと涙が浮かんだ。
こんな関係、心を消耗するだけだ。なのにどうして漣の言葉ひとつで浮かれてしまうんだろう。本気だったらなんて、ありもしない事を望んでしまうんだろう。
——考えるのはやめよう。
割り切ってしまえば楽になる。漣だってそのうち私が何度も体を許せば飽きて声をかけなくなるに決まってる。この関係に、これ以上の期待はしない。
眉間に眉を寄せながら目を閉じ、震える手を握りしめた。