あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
彼の涙
「それじゃあ、"本恋"の最終回とトレンド入りを記念して、乾杯〜!」
私の初めての出演ドラマが最終回を迎えた数日後、萌葉と那由多と3人で小さな打ち上げが行われた。"本恋"とはドラマのタイトル『本当は恋がしたい』の略称で、気付けばそういう風に呼ばれていた。
「いや〜私も呼んでくれて嬉しいよ。白雪が那由多に声かけたって聞いて仲間はずれにされたかと思って鬼電するところだったわ」
「お前がそんなだから白雪が気を遣ってくれたんだろ」
「違うもんね。私はもう何回も白雪とデート行ってるもんね」
私の腕を掴みべっと舌を出す萌葉。可愛らしさに頭を撫でれば擦り寄って甘えてくる。
「本当は頼み事するだけだったけど、那由多が飲みに誘ってくれたからせっかくなら萌葉も一緒がいいなって思ってね」
「白雪…!なんて可愛い子!」
キラキラした瞳で見つめてくる萌葉に「俺は何を見させられてるんだ」と呆れながら言う那由多はノンアルのビールを飲んでいる。
「那由多は飲まないの?」
「俺明日朝早いんだよ」
「じゃあなんで今日にしたの」
「お前が今日じゃなきゃ飲めないって駄々捏ねたんだろ」
「そうだっけ?」
テンポよく繰り広げられる会話は共演中絡みが多かった分自然なことだ。私も写真撮影が終わり色々と解禁となったので飲みたいところだけど、過去のやらかしがあるので控えている。
一方で萌葉は可愛らしい見た目に反して酒豪らしく、初っ端からハイボールをぐびぐびとあおっている。
体型気にしなくていいのかよ、と言う那由多に「太らない体質だから」となんとも羨ましい台詞を萌葉は放つ。私は気を抜くとすぐに体に出るのに。解せぬ。